「どっちを選べばいいの?」Tableau ServerとTableau Onlineの違い #tableau
はじめに
こんにちは。大阪オフィスのDI部メンバー、tamaです。
Tableauは今年の春に、ライセンス体系を大きく変更しました。
- Tabelauのライセンス体系がリニューアルされたのでまとめてみた #tableau | Developers.IO
- Tableau Server:新ライセンス体系におけるサイトロール別の「出来ること」について #tableau | Developers.IO
今まではTableau Desktopだけ使っているユーザーが、Tableau ServerやTableau Onlineを試してみたいと思っても、別途ライセンスを購入する必要がありました。トライアル期間こそありましたが、やはり別のライセンスが新たに必要というのは、企業によっては社内稟議の事情とかもあり、なかなかハードルが高いものがあったのではないかと思います。
しかし、このライセンス体系の変更により、Creatorライセンスさえ購入すれば、Tableau DesktopとTableau Server(またはOnline)が両方とも使えるようになりました。これにより、今までよりも「Tableau ServerやTableau Onlineも使ってみよう」という気持ちが高まっているユーザーが増えているのではないかと思います。
そこで皆さんが思うこととしては、「Tableau ServerとTableau Onlineって何が違うの?」「我々はどちらを選べばいいの?」というものではないでしょうか。もちろん、公式サイトやヘルプに各種情報は掲載されていますが、Tableau Desktopしか知らないユーザーが、これらの情報だけで判断するというのは、なかなか難しいんじゃないかと感じています。
そこで、本エントリでは、「こういう場合はTableau Server(Online)の方がええんとちゃうか」といった形で、Tableau ServerとTableau Onlineがどう違うのか、改めて整理していきたいと思います。
まずは両サービスの概要をおさらい
基本的には下記にまとめております。
両方とも「Tableau Desktopで作ったワークブックをWebブラウザ上で共有する」という大目的は一緒です。では、何が違うのでしょうか。色々ありますが、一番大きいのは動いている場所(サーバー)が違うということです。
- Tableau Online:Tableau社が運用管理するサーバー
- Tableau Server:ユーザーが運用管理するサーバー
Tableau Onlineはインフラの運用管理は全てTableau社が行っています。だからユーザーはインフラを意識する必要はありません。ユーザーはWebブラウザからTableau Onlineにアクセスしてログインするだけです。事実上、Tableau社が提供するSaaS型サービスといえるでしょう。
対して、Tableau Serverはインフラをユーザー側が用意する必要があります。サーバーの構築やその後の運用保守など、ユーザーが面倒を見る必要があります。
ここまでだと、「Tableau Onlineの方が楽やん!」という感想になる方が多いんじゃないでしょうか。実際、気軽に始められるのはTableau Onlineの方だと思います。
では、「すぐに始められるしインフラの面倒も見なくていいし楽そうだ。Tableau Onlineにしよう」と早急に決断しちゃってもいいのでしょうか。もし、この場に新日本プロレスの内藤哲也選手がいたら、きっとこう言うでしょう。
焦ってはいけません。
どちらにするかは、「自分の組織(部署とか)がこれらのサービス(ServerまたはOnline)をどう使っていくのか」「自分の組織はどういう風にデータ分析を進めていくのか」といったことをしっかり考え、それにより合致する方を選ぶべきだと考えます。
とはいえ、どういう事を見ていけばいいのか、なかなか掴めない部分も多いかと思います。そこで、個人的に「ここは確認しとくべき」と感じるポイントをいくつか挙げてみました。Tableau ServerかTableau Onlineかで迷っているユーザーの方の参考になれば幸いです。
チェックした方がよいと思ったポイント
Tableauで分析する(したい)データソースを確認する
まず、Tableauで分析したいデータソースは何かを確認しましょう。ローカル端末にあるExcelなのか、あそこのサーバー室に設置されているDBなのか、パブリッククラウド上のDBなのか…。
そして、そのデータをTableauで分析する時、そのデータを見る時の「鮮度」はどの程度必要なのかも確認しましょう。「リアルタイムで確認する必要があるのか」「定期的に更新を行う程度でいいか」「一度パブリッシュすれば更新は不要なのか」といった具合です。
なぜこれらを確認する必要があるのか。それはTableau ServerとTableau Onlineでは、データの鮮度の保ち方が異なるからです。
Tableau Serverの場合、ほとんどのデータソースにおいて、「ライブ接続」か「抽出ファイル」かを選べると考えて大丈夫です。(Google Analyticsなど、一部抽出のみのものもあります。)
しかし、Tableau Onlineの場合、データソースによって、ライブ接続ができなかったり、ライブ接続の方法や抽出ファイルの更新の方法が異なったりします。詳しくは下記ページで確認してください。
- Tableau Online:データを最新に保つ
- パブリッシュオプション、鮮度オプションという項目を要チェック
- Tableau Online:クラウド内で SQL ベースのデータへの直接接続の許可
データソースによっては、Tableau Bridgeというアプリケーションを別途使用しなければいけないものもあります。
分析しようとしているデータソースと鮮度の要件を確認し、Tableau Onlineでも大丈夫かどうか見極める必要があります。
まとめ
- Tableau Onlineはデータソースによって「鮮度」を保つ方法が異なる
- 自組織が分析しようとしているデータソースを確認しておく
- 場合によっては、Tableau Bridgeの準備も必要となってくる
- Tableau Onlineでは要件に合わない場合はTableau Serverを選択する
Tableau Server(Online)の「サイト」を複数用意する必要があるか確認する
Tableau Onlineは「サイト」を増やすためには別途費用がかかります。Tableau Serverは追加費用無しで「サイト」を増やせます。
「サイト」自体については、下記のエントリをご覧ください。
- セキュリティ〜Tableau Serverの各要素別のセキュリティ構成を説明する(Tableau Serverの権限管理について) #tableau | Developers.IO
- Tableau Serverの構成に関する設定を理解する #tableau | Developers.IO
何が言いたいのかというと、「各部署毎にサイトを分けて、部署毎に運用管理していきたい」みたいな計画をしている場合、Tableau Onlineだと追加コスト(サイト追加分)がかかるということを認識しておく必要があります。
基本的にサイトをまたいで各コンテンツにアクセスすることはできない(AサイトのユーザーがBサイトのコンテンツを見ることは出来ない)ため、サイトを分けるのは、他のユーザーに見せたくないビューやダッシュボードを扱う場合に有効です。しかし、サイトを追加するには別途コストが発生します。
サイト1つでも、コンテンツパーミッションとユーザーサイトロールの組み合わせで、「AユーザーにはAプロジェクトしかアクセスできない」ということは実現できます。
ただ、パーミッションの設定の理解や実行には、ある程度「慣れ」が必要です。設定を間違えると、あるユーザーが本来見えてはいけないものが見えてしまうリスクがあります。企業によっては「他部署の情報を閲覧してはいけない」といった決まりが厳重に敷かれていることもあります。そこらへんの社内ルールをしっかりと確認する必要があると思います。逆にそういったルールが特に無い場合(あるいは、存在するが気にする必要が無い場合)は、サイト1つで気軽にTableau Onlineを始めるという選択ができます。
Tableau Serverは、そもそもサイトを増やすのに追加コストは不要ですので、好きな管理方法を実践することができます。
まとめ
- Tableau Online×サイト複数で運用する
- サイト追加分のコストがかかることを認識しておく
- Tableau Online×サイト1つで運用する
- 追加コストはかからないが、パーミッション設定が難しい&リスク高
- サイト1つでいい場合は問題無し
- Tableau Serverを選択する
- 自由な設定が可能だが、環境構築の手間がかかる。
自社のセキュリティポリシーを確認する
前述の通り、Tableau OnlineはTableau社がホスティングしているサービスです。インフラ周りをコントロールしているのはTableau社となります。Tableau Onlineが、こちら側(自社)のセキュリティポリシーをクリアしているかは、下記の資料等で確認する必要があります。
そして、こういった他社サービスに「自社のデータを使用したファイル(Tableauワークブックとか)をアップしていいのかどうか」といったことも、確認する必要があります。特に経営等に関するデータとなってくると、結構厳しい企業も出てくるかと思います。
もしセキュリティポリシーに引っかかる場合は、どこまでのデータだったら使用していいのか、そもそもこういったサービスの利用自体がダメなのか、といった部分まで確認する必要があります。もう完全に利用NGとなった場合は、セキュリティポリシーをクリアできる環境を用意し、そこにTableau Serverを構築する…という方法をとる必要があります。
まとめ
- 自社のセキュリティポリシー上、Tableau Onlineの利用は問題ないかどうか確認する
- 特にアップロードするデータについて要確認
- Tableau Onlineの利用がNGの場合は、Tableau Serverの構築を検討する
Tableau Serverへの認証方法を確認する
Tableau Serverには、ユーザー認証の方法としてローカル認証(Tableau Server専用のアカウントを作って、それでログイン)の他に、Active Directory認証(Active Directoryを使用してログイン)を選択することができます。また、オプションとしてKerberos認証等を使用することもできます。
しかし、Tableau Onlineでは使用できる認証方法が限られています。さっくり言うと、Tableau Onlineで使用できるのはローカル認証のみ。そして、選択できるオプションはSAMLとGoogle(OpenID Connect )です。
例えば、Active Directory認証をやりたい場合はTableau Serverを選択する必要があります。自組織の要件を確認しておきましょう。
まとめ
- Tableau Onlineで使用できる認証方法について
- ローカル認証だけ
- オプションはSAMLとGoogleアカウント
その他
tabadminコマンドはTableau Serverだけ
Tableau Online自体の管理はTableau社がやっているため(ユーザーができるのは「サイトの管理」)。ちなみにtabcmdはTableau Onlineでも使用できます。
サイト名
Tableau Onlineの場合、サイト名はTableau Online全体(全利用ユーザー)の中で、一意のものにする必要があります。
おわりに
ちょっと長くなりましたが、Tableau ServerかTableau Onlineかを選ぶ際にチェックした方が良いと思うポイントを挙げてみました。
ちなみに、どちらかをいきなり決めるのではなく、まずは始めるのが簡単なTableau Onlineを触ってみてはどうでしょう。セキュリティをあまり気にしなくても良いデータ等で使い続けてみて、使い方に慣れてきたら、データやセキュリティの要件等をしっかりクリアしたTableau Serverを構築して乗り換える…みたいな方法もアリかと思います(いきなりTableau Serverを構築してみたが、誰も使わなくて不要になった…なんてこともあり得るので)。
以上になります。